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円満なセカンドライフは相続対策にあり!? 熟年再婚で知っておきたい相続のこと

2018年11月22日
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円満なセカンドライフは相続対策にあり!? 熟年再婚で知っておきたい相続のこと

最近は、熟年者の結婚活動が盛んになっており、前のパートナーと別れた後に結婚相談所に登録して、再婚相手を見つけられるケースなども増えているようです。ただし熟年者が再婚する「熟年再婚」の場合、当事者のみならず子どもたちへの「相続」の問題を考えておく必要があります。
婚姻届を提出すると相続関係が大きく変わってトラブルにつながる可能性がありますし、再婚相手に連れ子がいたら、養子縁組をするかどうかも考える必要があるでしょう。
自分が先に亡くなった場合、再婚相手が先に亡くなった場合、それぞれの相続関係を理解しておきましょう。
今回は、熟年再婚するときに押さえておくべき相続の知識を、弁護士が解説します。

1、熟年再婚するときに気をつけておきたいこと

熟年再婚のケースでは、若い頃の結婚とは状況が異なり、気をつけておくべきことも多くなります。

●財産管理
お互いが今まで築いてきた財産があるので、独立した管理が必要となるケースがあります。

●介護問題
当事者の両親の介護問題もありますし、高齢者の結婚の場合、当事者本人が介護を要する状態になることも考えておく必要があります。

●お墓や仏壇の問題
前妻や前夫のお墓や仏壇を守っている方もいるでしょう。また、誰がどのお墓に入るのか、夫婦ふたりの墓を作るのかなど、自分たちが入るお墓について検討を要するケースもあります。

●遺産相続、子どもたちとの関係
前妻や前夫との子どもがいると、熟年再婚をきっかけに関係が悪化することがあります。将来遺産相続が起こったときに熟年再婚の相手と子どもたちがトラブルになる事例も多いので、慎重な対応が必要です。

2、早めに相続人と相続分を把握しておこう

熟年再婚後の相続トラブルを避けるには、具体的な相続関係がどうなるのかを正確に理解しておくべきです。子どもたちも口に出さないまでも、気にしている場合が多いでしょう。以下で、熟年再婚後の相続人とそれぞれの相続分について、ご説明します。

  1. (1)熟年再婚した場合の法定相続人

    再婚をした場合、再婚後の配偶者は必ず相続人となります。
    配偶者以外の相続人には順位があり、先順位の者が居なければ、後順位の者が相続人となります。第1順位は子どもです。子どもが先に亡くなっている場合、孫が相続人となります。子どもも孫もいない場合、第2順位は直系尊属で、主に親が相続人となります。親が亡くなっていて、他の直系尊属が存命であれば、その者が相続します。子どもも孫も直系尊属もいない場合、第3順位は兄弟姉妹となります。

    たとえば前妻との離婚前の子どもが1人、再婚相手に連れ子が1人いるケースを例にみてみましょう。
    この場合、「再婚相手の女性(後妻)」と「前妻の子ども」の2人が相続人となります。後妻の連れ子は養子縁組をしない限り相続人になりません。

  2. (2)熟年再婚した場合の法定相続分

    法定相続分とは、被相続人(遺産を残して亡くなった人)の財産を相続するにあたり、各相続人の取り分として法律上定められた割合をいいます。「配偶者と子ども」が相続人となる場合の相続分は、配偶者が2分の1、子どもが2分の1となります。配偶者と親が相続人となる場合には、配偶者が3分の2、親が3分の1です。配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
    なお、配偶者がいない場合は、上記の法定相続人の順位(①子供(あるいは孫)→②直系尊属(主に親)→③兄弟姉妹)にしたがって、相続人が決まり、そのより後順位の者は相続人にならない、つまり、相続分もないということになります。先の例(後妻と前妻の子どもが相続するパターン)では、熟年再婚の相手と前妻の子どもの相続分はそれぞれ2分の1ずつとなり、2人が遺産分割協議を行って遺産の具体的な分け方を決定する必要があります。

3、養子縁組する場合としない場合の相続関係

上述したとおり、熟年再婚相手の連れ子は基本的に相続人にあたりません。もっとも、「養子縁組」をすると法的な「親子関係」が生まれるので、相続人になります。以下では養子縁組をする場合としない場合の相続関係を説明します。
ここでも、前妻との離婚前の子どもが1人、再婚相手に連れ子が1人いるケースを例にみてみましょう。

  1. (1)養子縁組をする場合の相続について

    夫と熟年再婚の妻(後妻)の連れ子が養子縁組をした場合の相続関係について、夫が先に亡くなるパターンと妻が先に亡くなるパターンに分けてみてみましょう。

    ●夫が先に亡くなった場合
    この場合、後妻、前妻の子ども、後妻の連れ子(養子)の3人が相続人となります。相続割合は、後妻が2分の1、子供が2分の1となります。この場合、子供は2人となりますので、それぞれ、前妻の子どもが4分の1、連れ子(養子)が4分の1の割合で相続することになります。
    なお、その後、後妻が亡くなった場合、前妻の子どもと後妻は養子縁組をしていませんので、後妻の遺産は後妻の連れ子に全部相続されることになります。

    ●後妻が先に亡くなった場合
    この場合、夫、後妻の連れ子の2人が相続人となり、相続分はそれぞれ2分の1ずつとなります。上述したとおり、夫の前妻の子供には、妻との関係では、相続分はありません。
    その後夫が亡くなると、夫の遺産について前妻の子どもと養子が、第1順位の相続人として、2分の1ずつ相続することとなります。養子縁組によって夫と連れ子の間に法的な親子関係が生じているためです。

  2. (2)養子縁組しない場合の相続について

    ●夫が先に亡くなった場合
    この場合、後妻、前妻の子どもの2人が、夫の遺産をそれぞれ2分の1ずつ相続します。その後、後妻が亡くなると、妻の遺産は連れ子が全部相続します。

    ●後妻が先に亡くなった場合
    この場合、夫、後妻の連れ子が、後妻の遺産をそれぞれ2分の1ずつ相続します。その後、夫が亡くなると、夫の遺産は前妻の子どもが全部相続します。

    以上のように、再婚や養子縁組によって、相続関係が大きく変わってくるので、正確に把握しておきましょう。

4、養子縁組の手続きの条件と流れ

  1. (1)養子縁組できる条件

    熟年再婚の相手の連れ子と養子縁組をするときは、「普通養子縁組」をすることになります。
    普通養子縁組の条件は、以下のとおりです。

    ●成立要件
    養親になる方と養子になる方に縁組をする意思があること(民法802条1号)
    縁組の届出をすること(民法739条)

    ●法律上の制限
    ①養親が成年に達していること(民法792条)。
    原則として未成年者は養親になれません。

    ②養子が尊属又は年長者でないこと(民法793条)。
    自分より年上の者を養子とすることはできません。
    熟年再婚の場合、多くのケースで再婚相手の連れ子は養親より年下ですが、もしも年上であれば養子縁組できません。

    また、連れ子が成人している場合、親である熟年再婚の相手が子どもの代わりに養子縁組を代諾することはできません。

  2. (2)養子縁組の流れ

    普通養子縁組をするときには「養子縁組届」という書類を作成して自治体に提出する必要があります。養子縁組届は、夫婦の婚姻届とよく似た書式になっています。
    まずはお住まいの市区町村役場に行き、「養子縁組届」の書類をもらいましょう。
    そして、養親となる方と養子となる方それぞれについて、氏名、住所、本籍地、入籍後の戸籍、監護すべき子どもなどの有無などを記載して、それぞれが署名押印する必要があります。押印に使う印鑑については認め印でもかまいません。
    さらに2名の証人が必要なので、親族や友人などに依頼すると良いでしょう。再婚相手との婚姻届と一緒に提出するのであれば、婚姻届作成の際に証人を依頼した人にそのまま頼むとスムーズです。

    役所に養子縁組届を提出するときには、以下のものを持参しましょう。

    • 届出人欄に押印した印鑑
    • 本人確認書類
    • 個人番号情報がわかるもの

    養子が成人している場合や、婚姻によって連れ子と養子縁組する際には家庭裁判所の許可は不要です。養子縁組届が受付けられると、縁組が成立し、法律上の親子関係が発生します。

5、いずれ相続でもめないために、できることとは?

熟年再婚をすると、将来配偶者と子どもとの間で遺産分割協議をする必要が生じる場合もあり、相続トラブルが発生する可能性が高くなります。
相続でもめないために、以下のような対処をしておきましょう。

  1. (1)遺言書を活用する

    相続対策のためには、「遺言書」を作成することをおすすめします。遺言書を作成すると、遺言者が所有する資産の処分方法を決定することができます。
    たとえば、今居住している不動産が夫名義の資産の場合、遺言書によって夫婦が現在住んでいる不動産を妻に残し、その他の資産については前妻の子どもに残すことなどができます。そうすれば、再婚相手と前妻の子どもが遺産相続方法について話合いをしなくてよくなるので、後述する遺留分の侵害に気を付けていれば、夫の死後の前妻の子どもと再婚相手との遺産分割トラブルを避けやすいです。

    遺言書を作成するときには、「公正証書遺言」を利用しましょう。公正証書遺言の方法によれば、公証人が遺言の法的有効性をチェックしてくれるうえ、公証役場に遺言書を保管することができるので紛失・偽造等の危険がなくなります。他方、公証役場などを介さず自分で作成する自筆証書遺言の場合、死後に発見されない可能性がありますし、発見されたとしても他の相続人との間で「偽物ではないか」などかえってトラブルの種になってしまうことがあります。また、有効な遺言書と認められるためには一定の要件を満たす必要がありますが、自筆証書遺言では公証人のチェックを経ないため、そもそも遺言書が無効となってしまう危険性もあります。

    なお、遺言書作成の際にはそれぞれの相続人の「遺留分」を侵害しないように注意が必要です。遺留分とは、法定相続人が有している相続財産に対する一定の持ち分のことをいいます。遺言書により相続財産の分配方法等を決めることができますが、その場合であっても、法定相続人が有する遺留分を侵害する遺言は避けた方がよいでしょう。この遺留分を侵害してしまうと、侵害を受けた相続人は当該持ち分を取り戻すため「遺留分減殺請求」を行うことができ、相続トラブルにつながってしまう可能性が高くなります。

  2. (2)生命保険を活用する

    生命保険の死亡保険金は、「遺産」の範囲に入らないため、これを利用して相続トラブルを避ける方法もあります。
    たとえば後妻にいくらかの財産を残したい場合、高額な生命保険に加入して妻を受取人にしておきます。そうすれば、夫の死亡により後妻に保険金が支払われ、後妻の生活が保障されりことになります。
    また前妻の子どもを受取人にしておけば、前妻の子どもの不満を小さくする効果があるとも考えられます。

  3. (3)再婚相手に遺留分放棄してもらう

    相続トラブルを避けるために、「生前に相続放棄してほしい」と考える方がおられますが、それはできません。熟年再婚時に結婚契約書などを作成して「互いに遺産相続しません」などと書いていても無効です。
    ただし、生前の「遺留分放棄」については、裁判所の許可があれば可能です。遺留分を放棄してもらうことができれば、後は遺言書によってその相続人に相続財産を残さないようにすることで、遺産を巡る法律関係を簡潔にすることが可能です。
    熟年再婚の相手には遺族年金も支給されますし、本人も財産を所有していて特に自分から財産を残さなくて良いケースもあります。そのような場合であれば、生前に家庭裁判所において「遺留分放棄の申立て」をしてもらい、許可を得ておくという方法も考慮にいれておくと良いでしょう。

6、まとめ

熟年再婚をすると、夫婦関係は円満でも子どもとの関係が悪化するケースがあります。法律事務所でも熟年再婚に起因して相続トラブルに遭ったご相談者からの問合わせが多いものです。熟年再婚の際に将来の相続トラブルが不安であれば、対処方法をアドバイスいたします。お気軽にベリーベスト法律事務所の弁護士までご相談ください。

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