お悩み相談室(コラム)

このエントリーをはてなブックマークに追加

遺産相続のトラブルを解決する!遺産分割調停で有利に遺産分割協議書を成立させる方法

2018年11月08日
  • 遺産分割協議
  • 遺産相続
  • 遺産分割

遺産相続のトラブルを解決する!遺産分割調停で有利に遺産分割協議書を成立させる方法

相続人間での遺産分割協議がまとまらなかった場合、家庭裁判所で遺産分割調停を行います。本コラムでは、手続きの方法や、申立てから出頭までどれくらいの期間がかかるのか、遺産分割調停を有利に進めるためにはどのようにすればいいのか、といった点を弁護士が解説します。

1、遺産分割における調停と審判との違い

親族が亡くなり、相続が発生した場合、遺言があればその遺言に沿って遺産分割を行います。一方、遺言がない又は遺言はあるが遺言に含まれない遺産がある場合には、その遺産をどうするか相続人全員で話し合う必要があります。

しかし、相続人は互いに異なる利害を有する間柄になりますから、話し合いがスムーズに進むとは限りません。時には、意見が衝突し、合意に至らないまま遺産に手を付けられないとか、誰かが無断で遺産を使ってしまうといった事態に陥ることもあります。

こうした相続に関するトラブルは、なかなか当事者だけでは解決できず、かといって遺産を放っておくわけにもいきません。この状態をうまく調整し、相続問題を解決するための場所が家庭裁判所です。

その解決方法としては、遺産分割調停と審判が有名です。以下、これらについて説明していきます。

  1. (1)遺産分割における調停と審判との違い

    遺産分割調停も遺産分割審判も、いずれも家庭裁判所において遺産分割方法について定める手続きのひとつです。
    それぞれ、以下のような特徴があります。

  2. (2)遺産分割調停とは

    遺産分割調停とは、家庭裁判所において、家庭裁判所が選任した調停委員と審判官(裁判官のことです)が間に入り、遺産の分割方法、相続分や割合について、相続人間での合意を形成していく制度です。
    特徴は、あくまで当事者の全員がひとつの答えで同意した場合にのみ成立するということです。逆に言えば、ひとりでも反対すれば成立しないため、第三者を交えて根気よく合意を形成していく段取りの場といえます。

  3. (3)遺産分割審判とは

    遺産分割審判とは、裁判官が、当事者から提出された書類や調査官の行った調査結果などの資料に基づいてな判断を下す手続きです。

    たとえ、当事者が裁判官の考えに反対していても、審判自体は言い渡されますので、これによっていったん事件は終了します。当事者がこの審判に不服を申し立てれば、また紛争が再開しますが、誰も期間内に異議を申し立てなければ、審判内容が確定し、事件は完全に終了となります。

    つまり、成立に対して全員の同意が必要となるのが調停、全員が同意していなくても審判官(裁判官)による決定がなされるのが審判という点で異なっています。

  4. (4)いきなり審判を申し立てることは可能?

    離婚と異なり、遺産分割については、審判の前に必ず調停を経なければならない、という定め(調停前置主義)がありません。
    したがって、理屈の上では、調停をすることなくいきなり審判を申し立てることは可能です。もっとも、実際の実務では、まずは調停を経て、相続人や遺産の範囲の確認、相続人たちの意向を確認して、できるだけ合意で進めるべきであると考えられています。
    そのため、裁判所に対して、調停をせずに審判の申し立てを行っても、裁判所の職権で調停に付されることがほとんどです(裁判所には調停に付する職権があるのです)。 つまり、結果的には、まずは調停が行われ、次に審判という順序で進むものと考えていいでしょう。

2、遺産分割調停の流れ

遺産分割調停の大まかな流れは以下のとおりです。

  1. (1)相続人の確定

    まずは、相続人を確定させなければなりません。戸籍謄本を被相続人の出生からそろえる必要があります。これを調べると、時には、まったく知らない親族がいたり、行方不明な相続人がいたりすることがあります。
    遺産分割は、当事者全員が関与しなければ無効ですので、必ず調停を申し立てる前に必要な戸籍をすべて取得して、相続人をくまなく調べてください。

  2. (2)遺産の範囲

    次に、亡くなった方の相続財産がどの程度、どこにあるのかを調査する必要があります。このとき、預金などプラスの財産だけでなく、ローンや借金などマイナスの財産も漏れなく調査することが重要です。これらの財産を、「財産目録」という形で一覧にして、裁判所に提出できるように準備します。

  3. (3)書類の作成

    裁判所の書式にしたがって「遺産分割調停申立書」を作成します。家庭裁判所のホームページで公開されており、ワードファイルなどでのダウンロードも可能です。同じ内容を別の書式に記載しても受付してもらえます。
    添付書類は、戸籍一式、印紙、財産目録、財産の評価額がわかるもの、その他ですが、事案によって異なりますので、事前に裁判所に確認しましょう。

  4. (4)申し立て

    書類の準備が整ったら、管轄の裁判所に調停申立書を提出して調停の申し立てを行います。管轄裁判所は、相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所です。相手方が複数いる場合は、誰の住所地を基準としてもかまいません。もっとも当事者間で合意ができれば、別の裁判所、たとえば申立人の住所地の管轄裁判所などに申し立てることも可能です。

  5. (5)遺産分割調停の期日と出頭

    申し立てが受理されると、実際に裁判所に行き、それぞれの主張を行います。申立人と相手方とは顔を合わせることはなく、別々の待合室で待ち、調停室には別々で交代に呼ばれます。なお、調停は本人が出頭することが前提ですが、遠方で出頭できない場合は、電話会議の方法によることも認められています。

  6. (6)合意

    遺産分割調停では、お互いが意見を出し合いながらひとつひとつの争点を確認して話を進めていきます。この過程では時間がかかることもありますが、完全に決裂に至らず、合意に至る見込みがある限りは調停が続きます。
    おおむね、1ヶ月に一度のペースで開かれます。何度か話し合いを重ねた結果、合意に至れば、その合意を調停調書という形でまとめます。その内容を、審判官と全員とで内容を確認して調停成立となります。
    実際の調停調書は、後日裁判所から郵送で送られます。

3、調停にかかる費用や期間は?

  1. (1)調停にかかる費用

    遺産分割調停の申立手数料は、被相続人ひとりにつき1200円分の収入印紙と、当事者の数に応じた連絡用の郵便切手代です。具体的な切手代金や切手の内訳枚数、そしてその納付方法は、裁判所によって異なります。
    必ず事前に確認してから納めるようにしましょう。

  2. (2)調停はどれくらいの期間がかかる?

    遺産分割に限らず、裁判所で行われる手続きは、ほぼ1ヶ月に一度というペースが標準です。また、遺産分割の場合は、当事者の数が多いこともありますし、遺産の種類や相続人同士の関係によって争点が複雑化しやすい傾向にあります。
    こうした具体的な状況によって遺産分割調停にかかる期間は変わってきますが、1回、2回で終わることはほとんどなく、半年から1年程度かかることが多いでしょう。もちろん、もっと長くかかる場合もあります。
    このような場合、相続税はいったん仮で納めて、調停成立後に修正申告をするなどの手だても必要となります。

  3. (3)どのような雰囲気で調停はおこなわれるの?

    調停は、当事者同士が直接顔を合わせて意見を述べ合うことはありません。あくまで中立の立場である調停委員に対して意見を伝える手続きだからです。
    調停委員は、通常は、丁寧に各当事者の話を聞き、意見のずれと合致点を見いだして整理しながら話し合いを進める役割をしてくれます。

    時には、当事者が事情を語る中で感情的になってしまう場合もあります。

    しかし、もともと紛争になっているからこそ調停を利用しているわけですから、感情論が出るのもある程度仕方ないことです。それで調停委員が怒ることもありません。
    おおむね穏やかな雰囲気で調停は行われると思っておいてよいでしょう。

4、遺産分割調停を有利に進めるために覚えておきたい5つのこと

  1. (1)感情の整理をしておく

    ある程度の感情論は、紛争である以上やむを得ませんが、あまりに激しく感情をぶつけると、話し合いが止まってしまう可能性があります。もちろん、調停委員は根気よく話を聞いてくれますが、限度があります。
    調停は、あくまで調停委員を通じて相手と話し合いをする場所ですので、調停委員に対してあまりに感情を激しくぶつけると、大事な点がうまく伝わりにくくなります。
    感情はできるだけ整理して、法的な話し合いができるように心の準備をしておきましょう。

  2. (2)法的な主張はしっかり

    感情を出し過ぎるのはよくありませんが、かといって裁判所の雰囲気にのまれたり、変に遠慮することは禁物です。調停委員はあくまで当事者の主張してきた事実だけをもとに話し合いを進めますから、自分のことはきちんと自分で言わなければ、誰かが代わりに主張してくれることはありません。
    遠慮せずに、きちんと自分の意見、主張は伝えるようにしましょう。

  3. (3)うそはダメ

    自分の主張はあくまで真実に沿ったものでなければなりません。また、証拠がない場合に偽造を持ちかける人もいるようですが言語道断です。

  4. (4)譲歩の気持ちを持つ

    調停とは、裁判官が独断で結果を決めるものではなく、調停委員が間をとりもちながら、あくまで当事者間で合意を作っていく手続きです。同じ遺産を分け合う関係ですから、全員が納得する結果を最初から期待してはいけません。
    交渉の基本的な考え方として、自分の希望や主張をある程度の幅で把握しておくことが重要なことです。調停も一種の交渉ですから、ある程度は譲歩することを前提とし、その譲歩ラインをどこに置くか、複数の回答パターンを持って臨むことが納得いく合意への秘訣です。

5、遺産分割調停手続きを弁護士に依頼するメリット

  1. (1)調査や書類作成の負担が軽減される

    遺産分割調停手続きは、本人でも手続きが可能で、実際に弁護士をつけずに自分で出頭される方もいます。しかし、遺産分割は、他の調停手続きと比べて専門性がかなり高い種類の調停事案です。

    遺産に不動産がある場合の評価の仕方、有価証券の場合、賃貸物件がある場合、そして、寄与分、生前贈与など、中を開けると争点が山積みというケースがほとんどです。
    また、それほど争点が多くない場合でも、必要書類を集めるだけでも、実は大変です。
    被相続人が生まれてからの全戸籍や、各種遺産の調査結果だけでも膨大な手続きが必要となる場合もあるため、こうした対応をすべて法の専門家である弁護士に依頼するメリットは高いといえるでしょう。

  2. (2)円滑な手続き進行が期待できる

    また、遺産分割調停は長期化しやすい傾向にがありますが、これを適切に進める点では弁護士がついている方がスムーズです。調停は譲歩が前提となりますが、どこを譲ってどこを譲らないかという重要な判断を弁護士と共に行うことでスムーズに次のステップに進めます。

6、まとめ

遺産分割は、親族同士の争いになる点で、大きな心理的ストレスを生むものです。とはいえ、もつれた糸を自分たちでほぐすのは難しいため、遺産分割調停は非常によく利用されているのです。
複雑な遺産分割問題は、弁護士に相談して進めることが必須といえるでしょう。

ベリーベスト法律事務所では、遺産分割問題に詳しい弁護士が、ご事情を親身にうかがい、より良い選択をご提案いたします。ぜひ一度ご相談ください。

このエントリーをはてなブックマークに追加

同じカテゴリのコラム(遺産分割協議)

このエントリーをはてなブックマークに追加
閉じる
PAGE TOP