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被相続人が亡くなってからの相続手続きの流れや期間

2018年09月18日
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被相続人が亡くなってからの相続手続きの流れや期間

ご家族が亡くなり未だ悲しみも癒えない中で、相続について調査し手続きを進めていくのはとても大変なことです。しかし、相続手続きの中には期限があるものもあるので、被相続人が亡くなった時点から適切に対応を進めていく必要があります。
葬儀が終わった後、具体的にはどのような流れで相続手続きを進めていけばよいのでしょうか?
今回は、相続手続きの流れを弁護士が解説していきます。

1、お葬式と初七日法要が終わったら遺言書を確認

  1. (1)まずは葬儀を終える

    相続手続きとは直接関係ありませんが、人が亡くなった場合、多くの場合は、まず医師から死亡診断書を受け取り、役所に死亡届を提出して火葬許可証をもらい、葬儀を行うことになります。初七日の法要も同時に行うことが一般的です。

  2. (2)遺言書の確認

    葬儀が終わった後は、すぐに「遺言書」があるかどうかを確認することが重要です。有効な遺言書が残されていたら、基本的にその内容に従って遺産相続の手続きを進めることになるからです。
    普通方式の遺言書には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類があります。以下、それぞれの場合について説明します。

  3. (3)自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合の流れ

    自筆証書遺言と秘密証書遺言は、遺言者(被相続人)本人が保管場所を決めるので、被相続人の自宅や貸金庫などに保管されていることが多いです。
    まずは被相続人が使っていた机やタンス、棚の引き出しの中などを確認しましょう。
    取引していた金融機関があったら貸金庫の利用がないかも調べるべきです。
    被相続人が会社経営者や事業者などであった場合には、仕事場の机や金庫などに遺言書が入っていることもあります。

  4. (4)公正証書遺言の場合の流れ

    公正証書遺言の場合には、公証役場で遺言が保管されています。本人の死後、相続人であれば公証役場の「遺言検索システム」を利用できるので、除籍謄本及び戸籍謄本(被相続人が死亡したこと及び自分が相続人であることがわかるもの)と自分の本人確認書類を持参して、申請しましょう。検索システムは、全国どこの公証役場でも利用可能です。

  5. (5)遺言書を見つけた場合の注意点

    自筆証書遺言や秘密証書遺言の遺言書を発見したときには、注意点があります。 それは、必ず「検認」を受けなければならないことです。 検認とは、家庭裁判所において、遺言書の状態や内容を確認する手続きです。これにより、その後の遺言書偽造や変造、破棄隠匿を避けることができます。
    遺言書は封入されていることも多いものですが、封入されている遺言書を検認なしに開封すると、科料の制裁を受けるおそれもあります。勝手に開封しないように注意しましょう。
    また、検認を受けないと、その遺言書によって不動産の名義変更や金融機関での預貯金の解約払い戻しなどを進めることもできないので、早期の段階において家庭裁判所に検認申立を行い、手続きを終えておく必要があります。

2、被相続人が亡くなって、3ヶ月以内に行う相続手続き

次に、被相続人が亡くなった後3ヶ月以内の相続の流れをご説明します。

  1. (1)相続人調査

    まず行うべき手続きは「相続人調査」です。相続人調査とは、誰が法定相続人になるのかを調べて確定することです。
    遺言書によってすべての遺産の処分方法が指定されている場合を除き、相続人全員で「遺産分割協議」を行って、遺産の具体的な分割方法を決めなければなりません。遺産分割協議には、法定相続人が全員参加する必要があるので、協議を開始する前提として、相続人を正確に把握しておく必要があるのです。
    相続人調査を進めるときには、被相続人の出生時から死亡時に至るまでの、すべての戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本を取得して、前婚の際の子どもや養子縁組の有無、認知した子どもの有無などを調べます。

  2. (2)財産調査

    相続人調査と並行して、財産調査も進めます。財産調査とは、被相続人の遺産内容の調査です。
    遺産分割方法を定める前提として、そのケースにおいて具体的にどのような財産があるのかを把握しておく必要があるので、遺産調査を行います。プラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産の有無も確認しましょう。
    具体的な遺産調査方法としては、自宅内に現金や預貯金通帳、不動産全部事項証明書などの資料がないか調べたり、金融機関や証券会社などに照会をしたり、市町村役場で固定資産課税台帳の開示を受けたりします。漏れの無いように調査を進めていきましょう。

  3. (3)相続の放棄・限定承認の申述

    相続手続きの流れの中で、家庭裁判所への相続放棄や限定承認の申述は、重要なポイントとなります。
    相続放棄とは一切相続をしないための手続きであり、限定承認とは相続財産を清算した後に余りがあったら相続する(なかったら相続しない)という手続きです。相続放棄は一人でも申述できますが、限定承認は相続人全員が共同して申述しなければなりません。さらに、限定承認の場合は、後述する財産目録の作成・提出を要します。
    また、これらは両方とも、基本的に相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述を行う必要があります。この申述期間を過ぎると、相続放棄や限定承認を受け付けてもらえなくなります。
    相続放棄や限定承認が特に有効なのは、被相続人が借金を残して死亡したケースです。この場合、放っておくと借金を相続してしまいますが、借金の相続を避けるためには相続放棄か限定承認のどちらか適切な手続きを選択して、3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。

3、被相続人が亡くなって、4ヶ月以内に行う相続手続き

相続手続きの流れとしては「4ヶ月」というタイミングも基準になります。
相続開始後4ヶ月には「準確定申告」の申告期限がやってくるためです。

  1. (1)準確定申告の流れ

    準確定申告とは、年の途中で被相続人が死亡したときに、相続人が被相続人に代わって所得税の申告を行うことです。
    個人事業者や各種の還付金の申請をする方は、通常、自分で「確定申告」を行う必要があります。ところが、本人が年の途中で死亡すると、自分ではそのような手続きができないので、相続人が代わりに確定申告を行う必要があります。それが「準確定申告」です。
    準確定申告は「相続開始後4ヶ月」が期限となっているので、その期限内に申告書を作成して税務署に提出し、納税まで行わなければなりません。この税金は「所得税」であり、「相続税」ではありません。期限を過ぎると延滞金が発生する可能性もあるので、早期に申告と納税を済ませましょう。還付を受けられる場合には、申告しないと還付されないので、やはりきちんと申告すべきです。

  2. (2)相続人調査を終えて相続関係説明図を作成する

    また、この頃までには相続人調査を終えて相続人を確定しておくべきです。相続人調査が終わったら、相続関係をまとめた「相続関係説明図」を作成しておくと、後の不動産名義変更などの相続手続きが楽になります。

4、被相続人が亡くなって、10ヶ月以内に行う相続手続き

相続手続きの流れとして、被相続人が死亡して10ヶ月以内に行っておきたい相続手続きをご紹介します。

  1. (1)遺産の評価額の確認

    まず、遺産の評価額を確認しましょう。できれば遺産調査の際に評価もしておきたいところですが、不動産などの場合には評価額に争いがあったり資料集めが必要だったりして、なかなか確定できないこともあります。そこで、遺産調査と並行して評価も進めていき、できるだけ早い段階で相続人全員が納得できる評価をつけておくようにしましょう。
    評価額でもめると遺産分割協議が成立しないので、公正かつ客観的に評価していく必要があります。

  2. (2)財産目録の作成

    遺産の評価が終わったら、財産目録(遺産目録)を作成しましょう。
    財産目録とは、どのような遺産があり、それぞれがいくらの評価額になるのかをまとめた一覧表です。不動産や現金・預貯金、株式や貴金属など、財産の種類に応じて分類し、それぞれの評価額を記載して合計額も書き込みます。
    財産目録がないと、遺産分割協議を行うときに「実際にどのような遺産があってそれぞれどのくらいの評価額だったか」がわからないので遺産を分けにくくなり、無駄なトラブルのもとになります。

  3. (3)遺産分割協議

    一般的な相続手続きの流れでは、相続人と遺産内容が確定した後、相続人が遺産分割協議を開始します。遺産分割協議には、相続人全員が参加する必要がありますが、方法は自由であり、電話やメール、FAXなどの方法を利用してもかまいません。必ずしも全員が一堂に会して顔をつきあわせる必要はないということです。
    全員が合意したら、「遺産分割協議書」を作成しましょう。これがないと、不動産の名義変更などの相続手続きができません。重要書類なので、間違いがないようにしてください。
    自分たちで話合いをしても合意できない場合、家庭裁判所にて遺産分割調停をしなければなりません。調停でも合意できない場合には、遺産分割審判により、裁判官に遺産分割の方法を決定してもらう必要があります。

  4. (4)遺産分割手続き・名義変更

    遺産分割の手続きが終わった後の流れとして、相続財産の名義変更などの具体的な相続手続きを進めていきます。 たとえば、法務局で不動産の名義変更を申請したり(登記名義人の変更)、金融機関で預貯金の名義書換や解約払戻しを申請したり、株式の名義変更を申請したりします。これらの手続きを進める際には、検認を受けた遺言書、遺産分割協議書、調停調書や審判書などの書類が必要になります。 名義書換などの具体的な相続手続きは、行わなくても違法ではありません。しかし、財産の名義人が被相続人のままになっていると、外からは法律関係がわからなくなって混乱の元になりますし、無権利者による勝手な売却などの違法行為が行われる可能性もあります。 面倒でも早期に手続きをしておくことが大切です。

  5. (5)相続税の申告・納税

    相続の流れでは、相続税に関する手続きも重要です。相続税は、相続開始後10ヶ月以内に申告と納税の両方が必要です。申告だけではなく納税も終えてしまう必要があるので、納税資金の準備などが必要な場合、相続開始後すぐに動き出す必要があります。相続税の計算方法や節税方法を知りたいときには、税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。

  6. (6)遺留分減殺請求

    被相続人の遺言などの内容にかかわらず、一定の範囲の相続人は、相続財産のうち一定の割合を取得できることになっており、この一定割合を遺留分といいます。遺留分を有する相続人は、被相続人による他者への生前贈与や遺贈などによって自らの遺留分が侵害されている場合、相続開始と遺留分侵害の事実を知ってから1年以内であれば、遺留分侵害者に対し、侵害された額を取り戻すための請求をすることができます。これを遺留分減殺請求といいます。自分の遺留分が侵害されているかどうかの判断は簡単なものではありませんので、自分の相続における取り分が他者に比べて不当に低いと思われた方は、一度弁護士に相談してみても良いでしょう。

5、まとめ

相続が起こったときには、相続手続きの全体的な流れを頭に入れつつ、期限も意識しながら適切に手続きを進めていく必要があります。期限を過ぎるとできなくなる手続きやペナルティがある手続きもあるので、注意が必要です。 相続の流れについて不安や疑問がある場合には、専門の弁護士までお気軽にご相談下さい。

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