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財産調査は何から手をつければよいの?亡くなった方の財産を調べる方法を弁護士が解説!

2018年09月27日
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財産調査は何から手をつければよいの?亡くなった方の財産を調べる方法を弁護士が解説!

遺言書も財産についての説明も何も残すことなく、突然に亡くなってしまった父。残された家族は父の財産がどこに何がいくらあるのか全くわからず、いったいどうやって相続の手続を進めていいのやら途方に暮れるとことになります。このように遺言も遺産目録も無い場合に必ず行わなければならないのが相続財産の調査です。亡くなった方の財産調査の方法や手続を弁護士が解説します。

1、財産調査とは?

財産調査とは、相続人の間で個人の遺産を分割する話し合いをする前提として、誰が相続人に当たるか、故人の遺産はどれくらいあるか、調べることをいいます。
相続人の範囲は、戸籍などを調査することによって確定させることができますが、遺産の範囲は、様々な可能性を考えてしっかり調査しなければ確定させることができません。また、遺産には、預貯金のようなプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。これらを漏れなく調査することは決して容易ではありませんが、遺産の範囲が確定できなければ遺産分割を進めることはできませんので、入念な調査が必要なのです。

2、相続人が知らない財産は意外と多い

財産調査は、亡くなった方の全ての財産を調べる必要があります。銀行口座はもちろん、不動産、有価証券、生命保険や損害保険、車両、また、他人に貸したり借りたりしているお金は無いかといったことまで、ひとつひとつ調べなければなりません。
また、最近はインターネット上で取引ができ、通帳を発行しないタイプの銀行口座も多数あります。このようなインターネットバンキング口座については、家族が全く把握していない、存在自体知らないということも珍しくありません。
さらに、以前は、一つの金融機関でも複数の支店で比較的自由に口座を作ることができましたので、ある支店の通帳が出てきた場合でも安心せず、その支店以外の口座を保有している可能性も考えるべきです。

3、財産調査で必要となる資料は

まずは、自宅や勤務先、貸金庫などで、被相続人の財産状況がわかる資料がないか確認ください。
つぎに、各機関などに問い合わせする時に相続財産の調査で必要となる資料を収集ください。参考までに概ね以下のような資料が必要です。

  • ①被相続人の戸籍謄本、除籍謄本(出生から死亡まで)
  • ②被相続人の住民票の除票
  • ③相続人の戸籍謄本
  • ④相続人らの印鑑証明書
  • ⑤相続人の身分証明書(免許証、健康保険証、個人番号カード、年金手帳、パスポート、住民票)

なお、上記①は戸籍等が複数あることが一般的で、複数の機関に提出する必要があり、非常に手間がかかるため、管轄の法務局に対して、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申請手続きを行い、法定相続情報一覧図を取得しておくと、大変便利です。

4、財産調査の対象となる財産

以下は、一般的に財産調査の対象となる財産の例です。

  • 預貯金
  • 貸金などの金銭債権一般
  • 借地権や借家権
  • 受取人を被相続人本人に指定した生命保険
  • 株式(株主としての地位)
  • 投資信託
  • 有価証券
  • ゴルフ会員権
  • 著作権、工業所有権など
  • 不動産(登記の有無を問わない)
  • 車両
  • 貴金属その他動産類
  • 債務(ローン、借金)

厳密にいうと相続財産ではないのですが、相続人がその地位に基づいて請求できる可能性もあることから、例えば、被相続人以外の第三者が受取人に指定された生命保険金、損害保険金や退職金手当、未支給年金などがないかについても確認しておくことをお勧めします。

5、借金などのマイナスの財産も相続の対象となる

  1. (1)プラス財産とマイナス財産を勘案する

    相続人が引き継ぐ財産は、預金などのプラスの財産だけではありません。借金などのマイナスの財産も相続の対象ですから、この調査を怠ってはいけません。

  2. (2)マイナスが上回ったら相続放棄

    調査の結果、プラスの財産よりもマイナスの財産が上回ることが明らかになった場合は、相続放棄の手続をとることができます。
    相続放棄とは、相続人が、被相続人の権利や義務を一切受け継がない旨の意思表示をすることです。
    この相続放棄をすれば、相続人は、被相続人のマイナスの財産を引き継ぐ必要はありません。
    なお、相続放棄は、相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して申述して行います。しかし、相続財産の全容がわからなければ、財産を承継すべきか、相続放棄をすべきかの判断がつきません。
    万が一調査や判断に時間がかかるであろう場合には、家庭裁判所に相続放棄申述期間の延長手続を行うことが認められています。親族が亡くなってバタバタしている間に、3ヶ月はあっという間に過ぎていきますから、早めに相続放棄申述期間の延長を申し出ることをお勧めします。

6、調査や手続は大変だが自分で財産調査することも可能

相続財産の調査は大変ですが、大切な家族の歴史を振り返りながらご相続人自身で進めていくことも可能です。以下に、財産ごとの大まかな財産調査の方法を挙げておきます。

  1. (1)預貯金の調べ方

    まずは、亡くなった方の持ち物から金融機関通帳やキャッシュカードがないか確認します。遺品整理の過程で思いもよらない口座が発見されることはよくあります。通帳やカード以外に、郵便物も重要です。通帳やカードが見当たらなくても、金融機関から様々な通知や取引の報告書が届くことはよくありますから、郵便物は必ずチェックしましょう。
    また、最近はインターネット口座で預金を管理している場合も多いですし、複数の口座を一括で閲覧できるアプリを活用する方も増えています。可能であれば亡くなった方のスマートフォンやパソコンにログインして、資産に関する情報がないか確認してみましょう。
    さらに、通帳やキャッシュカード等が見つからない場合でも、電話や窓口で問い合わせすれば、口座の有無や残高について開示に応じてくれる場合がありますので、思い当たる銀行等に問い合わせてみるとよいでしょう。
    残高だけでなく取引履歴も開示を求めることができます。取引履歴から他の相続財産が判明することはよくありますから、取引履歴もぜひ取り寄せておきましょう。
    加えて、相続開始時(被相続人死亡時)の預金残高は、相続税申告の基準にもなるので、金融機関から預貯金残高証明書や定期預金証や利息計算書を出してもらうことをお勧めします。

  2. (2)不動産の調べ方

    不動産も、自宅に権利証や登記情報通知書、固定資産税納税通知書・課税明細書など不動産に関する資料がないか探します。また、銀行通帳から固定資産税の引き落とし明細を探すのも一つの手がかりです。
    なお、不動産は一定の評価額を下回る場合には、固定資産税がかかりませんので、固定資産税納税通知書の記載が全てだとは限りません。固定資産税の課税・非課税を問わず、所有不動産を一覧にしたものが「名寄帳」といわれるもので、故人の不動産を調べるにはこの名寄帳の取り寄せが不可欠です。
    ただし、名寄帳は、原則として不動産の所在する市区町村ごとに作成されますので、自宅以外のどのあたりに不動産があるのかある程度わかっていることを前提として、その所在市町村または都税事務所に請求をかけることになります。固定資産税非課税であっても、たとえ未登記であっても、亡くなった方の不動産であれば原則として相続財産になりますから、ひとつひとつ調べていく必要があります。
    不動産の賃貸借がなされている場合には、借地等に関する契約書、貸家に関する契約書があるかどうかを確認し、その他土地等の使用者や所有者への問い合わせをすることも重要です。

  3. (3)借金や債務の調べ方

    借金や債務も、自宅に借用書や借入残高を示す書類などがないか、消費者金融などからの郵便物がないかを確認します。税金や健康保険料等の未納がないかも資料などを確認の上、所定の管轄に連絡する必要があります。
    また、通帳上に借り入れや弁済の履歴がある場合もあります。ローンや奨学金もマイナスの相続財産ですから残高を調査する必要があります。
    借入先などが全く分からない場合には、信用情報登録機関に問い合わせをすることも可能です。全国銀行個人信用情報センター、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)に対して所定の書式と必要資料と手数料をお支払いの上手続きをすれば、借入先が判明することもあります。

  4. (4)上場株式・国債・投資信託の口座の調べ方

    証券会社、信託銀行、ゆうちょ銀行、その他金融機関の取引明細書や年間取引報告書、株主総会に関する連絡などの郵便物がないか確認ください。
    万が一被相続人の株式等にかかる口座の開設先が全く分からない場合には、株式会社証券保管振替機構に対して、所定の書類を提出し、登録済加入者情報の開示請求を行うことが可能です。

7、まとめ

大切な親族を失った心痛を抱えつつ、財産調査を漏れなく迅速に進めることはかなりの負担となります。
財産調査をはじめとした遺産分割の前提問題から専門家に相談することで、ご依頼者様の負担を大幅に削減し、スムーズに手続を進めることが可能となります。
特に、評価の難しい財産がある場合や相続人間で不動産をどう分けるかといった紛争が予想されるときは、早めにご相談されることをお勧めします。

ベリーベスト法律事務所ではグループ内に、相続手続に不可欠な司法書士、税理士も所属しており、状況に応じて相続に精通した弁護士と連携しながら解決までのワンストップサービスを提供しています。気になる弁護士費用も分かりやすく事前にご説明いたしますので、相続について少しでも気がかりなことがございましたら、お気軽にご連絡ください。

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