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相続放棄をするなら知っておきたい注意点や手続きの流れについて

2018年08月02日
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相続放棄をするなら知っておきたい注意点や手続きの流れについて

親族が借金を残して亡くなった場合や、遺産相続の問題にかかわりたくない場合など、相続放棄を考える方は少なくありません。
ただし、相続放棄という言葉は知っていても、具体的にはどうすればいいのか分からない、そもそも本当に相続放棄するべきなのか分からないという方もいらっしゃると思います。
そこで、相続放棄のメリットデメリットや注意点、手続きの流れなどについて弁護士が解説いたします。

1、相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)の権利や義務を一切受け継がないことをいいます。

単純承認の場合、プラスの財産に限らず、マイナスの財産(借金など)も含めた被相続人の一切の権利や義務が、相続人に承継されることになります。
相続放棄をすることで、初めから相続人でなかったとみなされ、被相続人の一切の権利や義務を承継せずにすむのです。

2、相続放棄をすべきケース

相続放棄をすべき代表的なケースとしては、次のようなものが考えられます。

  1. (1)債務超過であることが明らかな場合

    相続放棄をする動機として最も多いのが、被相続人が債務超過である場合です。
    この場合に相続をすると、プラスの財産以上のマイナスの財産(借金など)を承継することになってしまうからです。

  2. (2)限定承認ができない場合

    相続には、単純承認をする、あるいは相続放棄をする以外に、限定承認という選択肢があります。

    限定承認は、簡単に言えば、被相続人のプラスの財産の限度で、マイナスの財産も引き継ぐというものです。
    たとえば、被相続人に借金があるが、被相続人名義の自宅の土地建物を残したいというような場合に、限定承認を利用することが考えられます。

    しかし、限定承認は、相続人全員がしなければならないとされています。
    そのため、相続人間で限定承認をするかどうかで意見が分かれてしまうと、限定承認をすることができません。
    限定承認ができない場合に借金を背負いたくないときは、相続放棄をするしかありません。

  3. (3)他の相続人とかかわりたくない場合

    他の相続人と折り合いが悪いとか、幼いころに両親が離婚し、音信不通になった親の相続問題に巻き込まれたなど、他の相続人とかかわりたくない場合は珍しくありません。
    そのような場合も、相続放棄をすることが考えられます。

3、相続放棄のメリット

  1. (1)被相続人の負債を背負わずに済む

    相続放棄の最大のメリットは、被相続人の負債を承継せずに済むということです。

  2. (2)遺産を分散させずに済む

    相続人が複数いる場合、遺言がない限り,基本的には遺産を法定相続分に従って分割することになります。
    何世代にわたって相続を繰り返すと、先祖代々の土地を細分化したり、手放したりせざるをえなくなることもあります。
    そこで、1人を除いて他の相続人が相続放棄をし、残る1人が単純承認することで、遺産の分散を防ぐことが考えられます。

  3. (3)遺産分割手続きにかかわらずに済む

    2、(3)で述べたとおり、特定の相続人とかかわりたくないとか、相続問題に巻き込まれたくないという場合があります。
    相続放棄をすることで初めから相続人ではなかったものとみなされる結果、他の相続人は相続放棄をした者の関与なしに遺産分割をすることができるので、相続問題に巻き込まれずに済むのです。

4、相続放棄のデメリット

  1. (1)プラスの財産も取得できない

    相続放棄をすると相続人ではなかったものとみなされるので、マイナスの財産だけでなく、プラスの財産も相続することはできなくなります。

    相続人全員が相続放棄をして相続人がいなくなった場合、利害関係人等の申立てによって裁判所に選任された相続財産管理人が清算手続きを行うことになります。

  2. (2)後順位の相続人も相続放棄をする必要がある

    相続放棄をすることで、後順位の者が新たに相続人になります。

    法定相続人の順位は、配偶者は常に相続人になり、血族は、①子、②直系尊属、③兄弟姉妹の順に相続人になります。
    被相続人の子が相続放棄をした場合、相続との関係では初めから子がいなかったものと扱われるため、直系尊属が存命であれば直系尊属が相続人になります。
    さらに、直系尊属が相続放棄をした場合は、兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が借金を背負わないようにするには、兄弟姉妹も相続放棄をしなければなりません。

    このように、相続人が相続放棄をすると、後順位の相続人も順次相続放棄をする必要があるのです。

5、相続放棄の注意点

  1. (1)法定単純承認にあたる行為をしない

    相続人が相続財産を処分したり、相続財産を隠匿したり、悪意で相続財産目録に記載しなかったりした場合、相続を承認したものとみなされます。これを法定単純承認といいます。
    ですから、相続放棄を考えている場合は、法定単純承認にあたる行為をしてはいけません。

  2. (2)相続放棄の期限は3ヶ月

    相続放棄は、原則として、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内にしなければなりません。
    この期間内に相続放棄も限定承認もしなかった場合、相続を承認したものとみなされます。

  3. (3)相続放棄は撤回できない

    一度相続放棄をすると、例外的な場合を除き,原則として撤回することはできません。
    たとえば、相続放棄をした後で負債を上回る財産が見つかったとしても、相続放棄を撤回して相続することはできないのです。
    これは、(1)の熟慮期間内であっても同じです。
    ですから、相続放棄をするかどうかは慎重に判断しなければなりません。

6、相続放棄の手続きの流れ

  1. (1)スケジューリング

    5、で解説したとおり、相続放棄には3ヶ月という期限があります。
    そのため、まず、(2)~(4)の手順に必要な時間を計算し、適切なスケジュールを立てる必要があります。

  2. (2)相続財産の調査

    単純承認をするか、限定承認をするか、相続放棄をするかを判断するには、被相続人のプラスの財産、マイナスの財産を正確に把握することが何よりも重要です。

    しかし、被相続人と付き合いがなく、財産や負債があるかないかわからない場合もあるでしょう。
    預貯金等は、金融機関に照会すれば取引の有無を教えてもらえますし、取引があれば残高証明遺書をもらうこともできます。
    また、不動産を所有していないかについては、市町村の名寄帳で確認することができます。

    これに対し、負債については、銀行などの金融機関や消費者金融、カード会社などの債務があるかないかは、信用情報機関で調べることができます。

  3. (3)必要書類の取り寄せ

    相続財産の調査の結果、債務超過であることが判明した場合など、相続放棄をすることにした場合、相続放棄に必要な書類を集めることから始めます。

    相続放棄に必要な書類としては、

    • ①相続放棄申述書
    • ②被相続人の戸籍の附表または住民票の除票
    • ③申述人の戸籍謄本
    • ④被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本など

    があります。

    ただし、申述人が代襲相続者(子がすでに死亡していた場合の孫など)や直系尊属、兄弟姉妹の場合、さらに被代襲者の死亡の記載のある戸籍謄本や、先順位の相続人の死亡の記載のある戸籍謄本などが必要になります。

    ①の相続放棄申述書は、裁判所のホームページでひな型をダウンロードすることができます。
    ②以下は役所で入手することができます。戸籍謄本は450円、除籍謄本は750円、住民票は自治体によりますが300円前後です。
    遠隔地で役所に行くことができない場合には、郵送で取り寄せることもできますが、郵便で往復する分だけ時間がかかりますので、熟慮期間を経過しないよう注意する必要があります。

  4. (4)相続放棄申述書等の提出

    相続放棄申述書に必要事項を記載し、戸籍謄本等の取り寄せが終われば、家庭裁判所に相続放棄申述書等を提出します。

    提出の際、裁判所に収入印紙800円分と郵便切手(裁判所によって異なりますが、数百円程度)を納める必要があります。

  5. (5)相続放棄照会書等が送付される

    相続放棄申述書を提出した後、家庭裁判所から相続放棄照会書という文書が送付されてきます。
    照会書に必要事項を記入して裁判所に送り返します。

  6. (6)相続放棄申述受理通知書が送付される

    照会書を返送してしばらくたつと、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書という文書が送付されてきます。
    相続放棄を正式に受け付けたということで、これで相続放棄の手続は終了します。

7、相続放棄をするなら知っておきたい5つのこと

  1. (1)相続放棄手続きは郵送のみでも可

    相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述する必要があります。
    ただし、遠隔地の場合には、裁判所に行かなくても、郵送で提出することが可能です。

  2. (2)熟慮期間の伸長

    これまで解説したとおり、熟慮期間は3ヶ月とされています。
    しかし、家庭裁判所は、利害関係人等の請求によって、この期間を伸長することができるとされています。
    したがって、相続財産の調査に時間がかかること予想される場合や、相続人の一部が外国に居住しており、相続人間の協議に時間がかかる場合など、3ヶ月では相続放棄をするかどうかの判断ができないおそれがあるときは、事前に熟慮期間の伸長の請求をしておくといいでしょう。

  3. (3)3ヶ月経過しても相続放棄ができる場合がある

    熟慮期間を経過すると、相続放棄は認められないのが原則です。

    しかし、申述人が被相続人の相続財産が全くないと信じ,かつそのように信じたことに相当な理由がある場合には,相続財産の全部または一部の存在を認識したときから3カ月以内であれば,申述が受理されることがあります。 ただし、あくまで例外ですし、3ヶ月を経過したときは弁護士に一度相談をした方がいいでしょう。

  4. (4)生命保険は受け取ることができる可能性がある

    被相続人が、受取人を指定した生命保険をかけている場合があります。
    このような場合、生命保険金は受取人の固有の権利であり、相続財産には含まれないとされているため、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができます。

  5. (5)代襲相続はできない

    被相続人が死亡する以前に被相続人の子が死亡している場合、被相続人の子に子(被相続人からみれば孫)がいるときは、孫が子に代わって相続人となります。これを代襲相続といいます。

    しかし、被相続人の子が相続放棄をした場合、被相続人の子は初めから相続人ではなかったとされるため、孫が子の代わりに相続する代襲相続も認められません。

8、相続放棄でお悩みの方は弁護士へご相談ください

これまで解説したとおり、相続放棄には3ヶ月の熟慮期間があります。
親族を失った直後に、「6、相続放棄の手続きの流れ」に沿って相続放棄の手続を進めることは、身体的にも精神的にも大きな負担になるでしょう。
また、3ヶ月を経過した後に借金が発覚して相続放棄をしたいというような場合、専門知識がなければ相続放棄を認めてもらうことは難しいでしょう。

弁護士に依頼をすれば、相続財産の調査、戸籍等の必要書類の取り寄せ、相続放棄申述書の作成・提出など、相続放棄に関する一切を任せることができます。
相続放棄でお悩みの方は、お気軽にベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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